はろはろ!こんにちは?!"よっぴ"の「パラドール紀行」です。
今回はムデハル様式の町として知られ、世界遺産にも登録されているテルエルからです。
第25回テルエルTeruel
名称「Parador de Teruel」
サラゴサから急行列車で2時間〜2時間半、バレンシアから約2時間半の距離にテルエルの町があります。
バレンシアの北西120kmトゥリア川に臨んだ山間の絶壁の上にある町で、標高920mあり、厳冬には氷点下10度になることもめずらしくないという極寒酷暑の地として知られており、ハモン・セラーノ(スペインの生ハム)や陶芸でも有名です。
アンドレ・マルローがスペインの内乱をテーマにした、共和国軍とフランコ軍との熾烈な攻防戦「テルエルの戦い」でも有名な町なのですが、今日のテルエルのキャッチフレーズは、もっとロマンチックに「ムデハルの町、恋人たちの町」と言うのだそうです。
数々のムデハル美術や建築様式を残すこの町は世界遺産にも登録されているのです。
パラドールは、その白い丘の旧市街から少し離れて、クルマで10分ほどの平坦な川沿い、緑の森の中にあります。
一階はガラス張りのサンルームが表に突きだしている別荘風の落ち着いた建物です。
内部はパステル調の色使いで内装が施されて明るさを強調しています。 | |
玄関を一歩入るとロビーの天井は高く柱と床はベージュ色の大理石が輝いていて、高級なプチホテルの雰囲気をただよせています。
そして、その正面にレセプションがあります。 | |
ロビーの右手にはアンティークな家具が置かれた重厚で落ち着いたサロンが広がり、左手には明るく開放的なレストランが対称的に配置されています。
この明るく光に溢れたカフェテラスやレストランはイベント会場に最適で、町民のための催し物や結婚式の披露パーティーにも広く使われているそうです。 | |
このレストランでは是非とも、ソパ・デ・アホをオーダーしてみて下さい。
ソパ・デ・アホとはスペインなら何処にでもある、有名なパンの入ったニンニクスープですが、この容器がテルエルとパラドールのロゴ入りの何とも言えず素敵なカップだからです。もちろん味もベストと付け加えておきましょう。 | |
そして、デザートにはこの町の伝説でありキャッチフレーズである「テルエルの恋人たち」と名前の付いたお菓子をどうぞ。。。 | |
パラドール内はサロンもロビー、廊下にもやわらかな色彩の陶器で溢れ、落ち着いた部屋にも陶器で作られたスタンドなどが飾られています。
テルエルとはアラビア語で「雄牛」のことを意味するそうです。
テルエルはレコンキスタ後もユダヤ教徒とイスラム教徒がとどまることが出来た唯一の土地ということで、土地に残ったイスラム教徒(ムデハル)がレンガや装飾タイルなどの
イスラム建築の建材と菱形の編み目や幾何学模様寄せ木細工などの装飾を施し、西欧的な要素とを巧みに組み合わせて作られ、そのものをムデハル美術と呼んだのです。
テルエルでは12世紀から16世紀にかけて、そのイスラムの職人に伝えられた数々のムデハル様式の建築物(塔)が建てられています。
ここから見渡すテルエルの町は本当に美しい。
☆テルエルの恋人
サン・ペドロ教会は「テルエルの恋人たち」の伝説で有名な寺院です。
これはテルエル版ロミオとジュリエットの話で実在の物語なのだそうです。
13世紀、テルエルにディエゴという青年とイサベルという恋人がいました。
ところがこのイサベルの父親は、貧乏人のディエゴとの結婚を許さないのです。
どうしても結婚したいのなら5年の間に富と名誉を手に入れて来るという条件を出します。
ディエゴは苦労を重ね、富と名誉を得てテルエルに戻ってくるのですが、その日、イサベルは父親の選んだ名家の男との結婚式を終えたばかりだったのです。
ディエゴは彼女の心変わりを責めるですが、イサベルは「なぜもっと早く帰ってきてくれなかった」っと泣くばかりです。
ディエゴはせめて口づけをと願うのですが、敬虔なクリスチャンのイサベルは神の誓いを守るためにその願いを拒むのです。
三度口づけを求め、三度拒絶の言葉を聞いたディエゴはそのまま息絶えてしまいます。
翌日サン・ペドロ教会でディエゴの葬儀が営まれたが、そのディエゴの遺体に取りすがったまま動かず、そのまま息絶えたイサベルの姿があったというのです。
伝説化していた彼らの墓が16世紀になって発見されて、恋人たちの遺体は離れることのないようにサン・ペドロ教会の安置室に並べて指を絡めて眠っているのだそうです。
ガラス張りの棺の中でミイラとなってですが・・・。
☆アルバラシン
テルエルの西40km程にバラ色の粘土で塗られた中世の町並みアルバラシンがある。
このアルバラシンの町もスペインの美しい町の一つとして有名です。(先日テレビ番組でツァーガイドの勧める隠れた観光地世界ベスト3に入っていました。)
テルエルの煌びやかな町も素敵だが、時間が止まってしまったこの寒村も別の美しさで、心を和ませるでしょう。時間が取れるのなら是非訪れて欲しいところです。
断崖に張り付いた小さな町ですが、歴史は古く旧石器時代には人間が居住していたといいます。 | |
11世紀にムラービト朝のベニ・ラシンがこの地に王国を作り、城壁を築きました。
町の背後の丘には頂上まで崩れかけた石積みの城壁が続いています。 | |
こんな辺鄙で小さな町にもマヨール広場があり、クルマもここまでは入ることが出来ます。 | |
しかし、この町の素晴らしさを実感するためには町の下の駐車場にクルマを止めて、ゆっくりと狭い階段を登って行くことをお勧めします。 | |
このマヨール広場まで約10分、町の中の路地を抜けて町の全貌を見渡す所へ10分、その上の城壁の頂上までは尚10分程かかります。
崩れかけた城壁の周りの道はとても滑りやすく、しっかりした靴を履いて注意して歩いて下さい。
しかし、この頂上まで来るとアルバラシンの山並みと眼下に広がるバラ色の町並をのぞむことが出来ます。
by"よっぴ"