第64回 アルマグロ
はろはろ!こんにちは〜!“よっぴ”の「パラドール紀行」です。
マドリッドから出発して、アンダルシアのグラナダ、或いはコルドバに向かう観光客は大勢居ますが、その丁度中間地点ラ・マンチャの大平原の中心にチョット立ち寄ってみたい町があります。そこには重厚な修道院を改装したとっても素晴らしいパラドールがあります。それが今日紹介するアルマグロのパラドールです。
第64回アルマグロAlmagro
名称Parador de Almagro
アルマグロはスペインでも一二を争う美しいマヨール広場を持つと言われています。
整然とした長方形の広場を囲んで両側に、一階部分は石柱が並んだアーケードを作り、2,3階は緑と白に塗り分けられた木枠の窓が並ぶ三層の建物が向かい合っています。たくさんのレストランやバルが並び、夜になると何処からともなく大勢の町民が 集まって来て深夜まで賑わいます。このマヨール広場から歩いて数分、16世紀の聖フランシスコ修道院を改装したのがこのパラドールです。
古僧院をそのまま使った部分に僧院の畑だった所を使って増築した部分を合わせると約20000平米。その中に55の客室と14のパティオがあるいう贅沢な作りなのです。部屋の扉は厚い木製で、家具もアンティークな趣をもったものを使用しています。昔の酒造庫を改造した "Bodega"(酒造)と呼ばれるBarには大きなワイン用の瓶がデコレーションとして使われています。
部屋の腰壁にはタイルが張られ、とてもエレガントな雰囲気を醸し出しています。玄関に近い一つのサロンではAlmagroの民芸品レース編みを地元のおばさんが実演販売していました。日本にも紹介されたそうで自分の載っているNHKスペイン語講座のテキストを得意げに見せてくれるでしょう。
アルマグロは13世紀から15世紀末までレコンキスタのために戦ったカラトゥラバ騎士団の本拠地となり、また1574年から1828年までは大学も置かれていました。このような歴史もある町で修道院も多く建てられ、町中も立派な紋章で飾られたファサードの邸宅が立ち並んでいます。
マヨール広場近くの小さな公園には、この地出身のディエゴ・デ・アルマグロの騎士像が建っています。コンキスタ・ドールとしてピサロと共にインカ帝国を滅ぼし、チリ総督になりましたがピサロに殺されてしまいます。
マヨール広場を囲む建物の中間部分に芝居小屋(Corral de Comedias)があります。この劇場は16世紀の建物で紅く塗られた木の柱廊にオイルランプの灯り、舞台とすべて紅と白とが調和した美しい青空天井の劇場です。現在も立派に使用されていて、毎年8月には現代演劇フェスティバル、9月には国際古典劇フェスティバルが開かれ、世界各国から演劇ファンがやってきます。
通常なら夏のアンダルシアは暑いので比較的空いているのですが、この時期には当然ながらパラドールは予約で溢れ、半年以上前の予約が必要だと言います。
☆ piso(ピソ)マンション
ピソとは建物の階のことを指しますがマンションもピソと言います。
地方では一戸建ての家も多いのですが都会ではやはり住まいはマンションが主流です。
日本では築何年とかが売買時の値段を決めるのに大きな要素となりますがスペインではあまり関係がナイようです。もっとも百年二百年前の建物を使って住んでいるのですから、そこでの十年や二十年など取るに足らないことなのでしょう。
しかし外観は百年以上前の建物でも中に入ると驚くほど立派で設備も充実していることが多いのです。このことはパラドールにも通じることなのですね。
都会の大きなピソだと玄関を開けるとロビーがあって、そこには管理人が居たりします。
そしてエレベーターに乗り自分の部屋に行くわけですが、日本のマンションよりもホテルと言った感じです。
最近は日本でもオートロックとか外部の人間がやたら出入り出来ないようなシステムになっていますが、さすが?スペインでは防犯には注意していて自分の家に入るのに最低で二つの鍵が必要です。つまり建物に入る時と自分の部屋に入るときです。
これに大抵の家では玄関の鍵は二つ付いていますし、エレベーターも鍵が必要だったり、郊外のマンションだと敷地に入るための鍵、駐車場の鍵、それにプールの鍵、クルマの鍵と鍵だらけです。それも割と大きく無骨なモノが多いですからまるで守衛が持つような大きな鍵束のようなキーホルダーを持っています。(ちと大げさか)
来客がある場合は勿論建物の外に設置されたインターホンで呼び出して開けて貰わなければなりません。
広さはやはり都会は狭く、郊外に行くと広くなりますが、町中でも普通の家で約100から120平米くらいあり、日本よりもだいぶ広いようです。それにその広さ以上に天井も高いのでゆったりとしています。値段は日本の半分以下です(最近は価格も高騰してそれほど安くはないとも言いますが…)。
郊外には日本でも最近多いタウンハウスタイプの住宅がありますが、それも敷地、広さとも日本とは大分違うようです。
スペイン人の弁護士と結婚されてスペイン北西部ア・コルーニャに住むIさんのお宅にお邪魔する機会がありました。
ア・コルーニャは大都会ですがその町の中心地からクルマで15分程、まるで別荘地のような静かな松林の中にIさんの家はあり、購入したときの価格は約3500万円、隣の家とは背中合わせのタウンハウスタイプの住宅ですが、それでも敷地は1軒あたり300平米、住居も地下を含めて300平米近い大邸宅でした。
このように恵まれた住環境のスペインですが、都会に出てきて働いている若者の多くは生活が苦しくて、(特に入社1年目は試用期間として給料も特に安いのです)狭いピソを数人共同で借りて暮らしていることも多いそうです。
by“よっぴ”