第81回 ソリア
はろはろ!こんにちは〜!"よっぴ"の「パラドール紀行」です。今日紹介するのはスペインの詩人「カスティーリャの大地」を歌い上げたアントニオ・マチャードの心の故郷、ソリアのパラドールです。
第81回ソリアSoria
名称「Parador”Antonio Machado”」アントニオ・マチャードのパラドール
ドゥエロ川Rio Dueroの岸辺、標高1050mの高地の町ソリアの鉄道駅からクルマで10分、丘の上のアラブの城塞跡、現在は緑の美しい公園になっている景勝地にパラドールは建っています。レンガ作りの建物は正面から見ると2階建てにしか見えませんが、崖に沿って下に建物が延びているので実際は3階建てなのです。
玄関を入って先ず驚くのは、そこかしこにアントニオ・マチャードの写真、絵画、詩で館内が飾られていることです。このパラドールの名称になっているアントニオ・マチャードとはアンダルシア生まれの詩人で、この地を愛し、高校の教師をしながら数々の叙情詩を発表していました。代表作には「カスティーリャの大地Campos de Castilla」は彼の最高傑作と言われています。
部屋は白い壁と赤茶色の松材の床や窓枠との組み合わせが外の景色と相まって、落ち着いた空間を生み出しています。
レストランは崖沿いに一段下ったところにあって、断崖の真下にはソリアの町並み、ドゥエロ川とカスティーリャの荒野が広がっているのが見えます。
ソリアの町中にはロマネスク様式のサント・ドミンゴ教会、16世紀ゴシック様式の建物で回廊の美しいサン・ペドロ教会、アラブ建築の影響がみられる回廊だけが残るサン・ファン・デ・ドゥエロ、旧石器時代から現代に至るソリアの歴史の変遷をたどるヌマンシア美術館など見所がいっぱいあります。
また近郊には紀元前133年ローマ軍侵攻の際、自ら町に火を放ち、自決したといわれるケルト人の町ヌマンシアの遺跡があります。
*雑文館(個人旅行のノウハウ編)*
「治安」
スペイン旅行で最も多い質問の一つが「スペインは治安が悪いのですか?」というものです。そしていつも回答は同じです「普通に注意すれば大丈夫!」です。
しかし、スペインは本当にそんなに治安が悪いのでしょうか。被害を受けた方には誠に申し訳ないのですが、(日本ではない)外国に於いては、現地の方でもしないような不注意な行動が原因となっている場合が非常に多いのです。
これから述べる注意事項はスペインに限らず多くのヨーロッパ諸国、いや世界中で共通した注意事項で、逆にそんなことを改めて言わなければならない日本だけが特殊なのかもしれません。
もし、これから話す注意事項ですら面倒だ!っと思うのなら旅行を止めるしかないでしょう、今や日本でも同じような窃盗や強盗が増えてきていますから極端に言えば日本に居ても外に出るな!ということになってしまいます。
スペインの大都市、マドリッドやバルセロナでは他の地方都市に比べても盗難が多発していますが、これらの人口の多い大都市で犯罪があるのは当然のことで、パリやローマ、ロンドンでも同じような事件は起きており、特にスペインのこれらの都市に犯罪が多いわけではありません。
最近バルセロナにおける外国人観光客を狙った泥棒やスリの被害にあった外国人はイタリア、英国、フランス、米国、オランダそして日本の順になっているそうです。
被害の8割はスリや泥棒など暴力を伴わない犯罪で、日本人を専門に狙うモロッコ系の置き引きやスリ、パスポートや金銭の窃盗団がいて日本人ツーリストの被害件数が他の国よりも多くなっています。
最近は、在西日本人会の方々とスペイン警察当局による日本人観光客護衛プロジェクトのおかげで一時期に比べれば随分と被害数が減少しているとのことです。
ではこれから具体的に被害に遭いにくい旅行、被害にあっても最小限ですませる方法を考えてみたいと思います。
日本からの観光客の大多数はヨーロッパ各国で乗り継いでマドリッドやバルセロナに降り立ちます。最近はごく一部には羽田を早朝に出発して昼前に到着する便もありますが、ヨーロッパ系の航空会社を利用する場合、多くの便はスペインへの到着する時刻は深夜の場合が多いと思います。ですからスペインに到着したら一早くホテルに入ってゆっくり手足を伸ばして疲れを取ることを考えましょう。
そこで、先ずどんなことがあっても、この最初の1泊目は日本で予約をしておきましょう。
最初の1泊目を予約するということは、空港でウロウロすることで泥棒の標的になることを避けるためで、(両替も出発前か乗り継ぎ空港で済ませ)空港ロビーからは早く離れ、タクシー乗り場からまっすぐホテルに向かうということなのです。(混んでいるからといって、決してそれ以外の場所からは乗らないこと、白タクやボッタのタクシーの場合もあります。)
空港から町に出て、行き当たりばったりで貴重品を身につけた状態のままでぶらぶらと宿探しをするというような事は絶対に避けなければいけません。
さて、スペインでの滞在ホテルですが、少なくてもこの最初のホテルだけはセキュリティのしっかりした、安心感のある3☆ホテル(出来れば4☆)を確保して下さい。
マドリッド、バルセロナでの町散策は「必ず手ぶらで」と言う鉄則を守るためには部屋にセーフティボックスの付いたホテルを選んで貴重品をすべて入れてから外出したいものです。
決して市販の某ガイドブックなどに紹介されている安宿には泊まらないようにしましょう。
それらのホテルは多くが治安上非常に問題のある旧市街の中心地に位置している場合も多いのです。(特にバルセロナの場合)
また、危険だ、高い、からと言って、マドリッドやバルセロナでの滞在期間を少しでも短くしようとして、到着早々夜行バスや列車などで他の町へ移動しようと考える方もいるでしょうが、万一航空機の到着が遅れてバスや列車に間に合わない場合には深夜にすべての荷物を抱えたままホテルを探すという最悪のパターンになってしまいます。
ですから、必ず少なくとも最初の1泊は日本で安心の出来るホテルを予約しておいて下さい。安全を確保するためには多少の出費は必要なものです。
フランクフルト、アムステルダム、パリなどロンドンを除くEU各国の都市での乗り継ぎの場合、スペインの空港でのパスポート・チェックは通常ありませんのでパスポートは確実に安全な場所にしまっておくこと。また荷物を待っている間、あるいは受け取った後も油断せず、常に荷物から目を離さないようにしてください。日本と違って、荷物を置いておけば無くなるというのは世界では常識なのです。
ホテルにチェックインする時も、ホテルのロビー内での置き引きに注意しましょう。
チェクイン後、貴重品はすぐに、ホテル室内のセーフティボックス、なければフロントで金庫に保管してもらってください。決して室内のトランクの中に入れて置かないように。
出来れば4☆のホテルと言ったのはホトンド部屋の中にセーフティボックスが完備されているからで、(部屋にセーフティボックスが無い場合、ホテルのフロントに預かって貰うのには結構手間がかかるのでつい出し入れのあるものは預けずに手元に置いておくという結果になります)何度も出し入れ出来ますのでホテルのフロントに預ける必要がありません。
ではどんな犯罪が多いのでしょうか? 基本的には物取りで、細かい手口は後ほど説明しますがパターンとすれば二つ、窃盗と強奪です。
被害が多いのは色々な手口を使った窃盗(スリや置き引き、車上荒らし、詐欺など)ですが被害の大きさから言えば傷害の可能性のある強奪(強盗、引ったくり)です。
窃盗は比較的人の混雑した道路や観光地で、強奪は人気の少ない裏通りや地下道、或いは深夜、早朝と言った時間帯に狙われることが多いのはお分かりだと思います。
良く、マドリッドやバルセロナなどの大都市を歩く場合、街歩きをする際の基本は、「手ぶら」と言われます。
もちろん、それがベストなんでしょうが、写真も撮りたいでしょうし、地図の付いたガイドブックやハンカチとティッシュ、小さな化粧ポーチ位は持ちたいでしょう。
先日、バルセロナを観光してきた方から観光の心構えとご自分の取った方法の書き込みがありました。
私の格好..布地でできた、軽い安っぽい、小さめのカバンを肩から斜めがけしました。
これには、テレカ、地下鉄バス回数券、メモ帳、ペン、20ユーロくらいの
札を入れました。小銭は小さい安っぽい物入れにいれて、ズボンポケットに
いれました。
網状の透けている素材のバッグを別に持ち、そこには、ガイド本、水、
ティッシュ、化粧品、カーデガン、デジカメ、折りたたみ帽子など乱雑に
突っ込んでいました(笑)。こちらは肩に引っ掛けていることが多かったですね。
これはとても参考になります。よく観光客の格好をするな!とか言いますが、カメラを持って、ガイドブックでも持てば観光客バレバレです。(笑)まあスペインでは観光客も多いので全然不思議でもありませんし観光客に見えていいのです。
ただ、「この客は狙っても金にならないな」と思わせればいいのです。
これでもしスリに狙われてカバンの中を探られても被害は僅かなモノです。
スリは獲物と狙いを定めると必ず後を付けてきます。もし、怪しい雰囲気の人が後を付けているように思われたら、近くの店に入ったりして、そいつがどんな行動を取るか見ていましょう、狙われていると思ったら、店の中でその人が諦めて立ち去るまで待ちましょう。
問題は強奪の方です。怪我を伴いますから…。しかし、これは被害に遭う場所や時間帯がほぼ決まっていますから、その状況を作り出さなければ良いのです。
深夜(早朝も危ないのです)に人気のない通りを歩いて数人の男に囲まれた、地下道で羽交い締めにされた、コロン広場で空港バスから地下鉄に乗り換えるときに後ろから殴られて身ぐるみを剥がされたという話もあります。
要するに君子危うきに近寄らず、このような暴力的な被害の多い場所と時間帯には近寄らないことです。
ただ、オートバイなどで信号待ちの女性のバッグを引ったくるというのは人の多い大通りでもあるようですから信号待ちのときはスリと合わせて注意してください。(車道側にバッグを持たないなど)
要するに、☆スリ対策=貴重品は持たない。☆強盗対策=人の少ない、危険な場所、時間帯を避ける。
この二点に尽きると思います。
タクシーはスペインでは安全にも欠かせない乗り物ですが、乗降時に引ったくりに遭うこともあるようです。降車時に手の中に財布を持ったまま、買い物のバックや荷物をタクシーから出すことに気を取られているからです。降車前に必ず財布をしまいましょう。
万一、被害に遭った場合は警察Policiaに届け出しましょう。
警察には日本語の被害届もあるそうです。
保険の請求もありますし、被害届が無いために、警察がせっかく捕まえた犯人を検挙出来ないことも多いのだそうです。
では最後に最近多い、数人組による知能的窃盗犯の手口を少し紹介します。
まず。相変らず多い手口が「ケチャップ強盗」というものです。
「背中にケチャップが(アイスクリーム)が付いてますよ」とあなたに注意を促し、服をふき取る振りをして、或いは後ろを振り向いたその瞬間を狙って財布やカバンを盗むというもの。見知らぬ人に声をかけられたら周りの人にも注意しましょう。
一人が地図を広げながら「道を教えて!」と言って近寄り、広げられた地図に気を取られている間に地図の下にあったハズのカバンが消えてしまう。
ホテルのエレベーターを待っているとカップルが一緒に乗り込んできて、貴方が部屋の鍵を開けたと同時に侵入してくるケースもあります。周囲に人が居る場合は部屋の鍵を開けるのを待ちましょう。
最近多いのが、偽警察手帳を持った偽麻薬捜査官と偽犯人、犯人役に話しかけられ、そこに警官が現れる。犯人役を取り調べ、次に貴方を取り調べて、持ち物を出させるという手口、この麻薬が偽札になって所持金検査をしたりしますがパターンは大体同じです。
日本人の警察に対する信頼性を利用した手口で、イタリア人には通じないカモ。
by“よっぴ”